農家の嫁が働きながらこっそりつぶやく独り言

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【藤城清治100歳「美しい地球 生きる喜び 未来へ」展 に行ってきた】

昨日おでかけしてきた福岡市博物館
藤城清治100歳 美しい地球 生きるよろこび 未来へ」展。

              ©Seiji Fujishiro 2023    ※画像は福岡市博物館ホームページより


すごく良かった。
行って良かった。
100歳まで元気に過ごせていることもすごいのに、現役で創作活動を続けていることにリスペクトせずにはいられない。

100歳を超える芸術家といえば、1月に亡くなった染色家の柚木沙弥郎さんも素晴らしかった。
作品に触れたり、インタビュー記事に目を通したり、映像で創作活動の様子を拝見した感じでは、お二方ともとてもチャーミングで、世界を見る目がとても優しく、それが作品に反映されていると思った。

影絵作家の藤城氏は、雑誌「暮らしの手帖」の初代編集者花森安治氏に認められ、「暮らしの手帖」に影絵を連載。
柚木沙弥郎氏は、「民藝」の提唱者の一人でもある柳宗悦の支えを原点に、染色作家として天寿を全うしている。

「暮らしの手帖」も「民藝」も、暮らしの中に美しさを見出し、「日常」を大切にしている。
2人の巨匠。彼らのまなざしの温かさには、人々の日常に視点があり、そこに美しさを見出しているからこそなのかもしれない、そんなふうに感じた。


影絵作品って、そんなに大きな作品ではないって思ってた。
でも、会場の天井にまで届かんばかりの大きな作品を見て、その美しさと存在感に圧倒された。
藤城氏が依頼を受けて作った作品が、保育園の壁だとか、老人施設のエントランスの壁いっぱいに広がっている。それは、作品のテーマと美しさとが相まって本当に「生きるよろこび」そのものであるように感じられた。

あらゆる作品に登場する三角ぼうしをかぶったこびとや、楽器を演奏するねこたち、そして演奏会に集まったたくさんの動物たち。
見ていて楽しかった。
一方で、光を通すために葉っぱ一枚一枚を切り抜いていく作業の緻密さと根気強さに、作者の信念を感じさせられた。

上映されていた「泣いた赤鬼」の物語は、子どもの頃NHKの教育番組で見た記憶があるような気がした。
今見ると、本当にあの作品は芸術だと思う。
こどもが見るものもだからこそ、より丁寧により美しく作られている感じがしたし、今回ゆっくり見て、感動で涙が滲むほどだった。


ファンタスティックな作品ばかりではなく、東北の震災被害や、原爆ドーム、平和を希求する作品も展示されていた。
雪が舞い散る中、放射能から身を守るために防護服を着てデッサンをする藤城氏。
限られた時間の中、描かずにはいられなかったであろうし、もしくは、見えない力に描かされていた、そんな印象も受ける作品を前に、市井の人々の日々の日常そのもが美しいものであるということに気付かされる。

100歳の展示会は、メルヘンだけでは終わらない。
その先にある世界は、まさに、「美しい地球 生きる喜び 未来へ」そのものだと感じさせられた。
行って良かったと強く思ったし、ぜひ!とおススメしたい。