農家の嫁が働きながらこっそりつぶやく独り言

~仕事のこと、農作業のこと、家のこと、子どものこと、 何気ない出来事 ~

【藁を撚る】

お茶の稽古はじめでもある初釜では、正月飾りを施した高麗卓を使うとのことで、先生の発案で、その正月飾りの縄作りにみんなで挑戦することになった。
今日がその作業の日で、先生のご自宅に藁と砧を持参して参加してきた。

高麗卓に正月飾り。これにゆずりはウラジロを飾る


棚一周分、約1メートルの細い縄を撚る。
まずはもち米の藁を、砧(きぬた)で打つ。
打つことで全体が柔らかくなり、それでいて芯が丈夫になる。
そして、藁を撚っていくのに必要な芯以外のものが落としやすくなる。
なんとも不思議なこと。

芯の部分だけを集め、それを2本ずつを折り重ね、その部分を足指でしっかりと押さえて撚りはじめる。
神様に捧げる注連縄ということで、右に撚っていく。
途中、足指で押さえる場所を変えながら、頃合いを見て藁を一本ずつ継いでいく。
できるだけ一定の太さになるように。
できるだけ撚る強さが一定になるように。

社中の皆さんは、初めての経験。
砧を見るのも初めてだったとか。
なるほど「砧型花入れ」と同じ形だと、感心されていたのが、なんだか可笑しかった。



撚ってできた縄。
飛び出した余分な箇所をはさみで切り落とし、きれいにしごくと、撚り目も揃って、見た目もそれなりに美しくなった。

初めての人も、最後は上手に撚れるようになっていて、できた縄を家の神棚に飾るだとか、部屋のインテリアにするなど、皆さん喜んで持ち帰っていた。


我が家の人たちが藁を撚ることができるのは、氏神様の注連縄づくりが暮らしの中にあるからだと思う。子どもを連れて地域の出事に参加する。そういう習慣を残している。
ちょっとしたコツさえ掴めばそんなに難しくないことでも、必要なければ経験する機会さえも持てない。試験には出ないし、学校生活では役立たないし、日常生活でもほとんど藁を撚ることはない。それでも、子どもたちには、藁を撚ることができてほしいと思うし、手仕事の美しさを知っていてほしいと思う。
暮らしはきっと、手仕事から成り立っているのだな。