農家の嫁が働きながらこっそりつぶやく独り言

~仕事のこと、農作業のこと、家のこと、子どものこと、 何気ない出来事 ~

【残高不足】

残高不足で、農協さんから振込用紙が届いた。

農協の口座は、農業に関することの出入金に使っている。
支出については、種もみ代金から農薬肥料などの資材代、農業倉庫の建更共済、トラクター、田植え機、コンバイン、軽トラの共済掛金代など。あとは、家の建更共済も農協なので、ここから支出されている。
他に、農協の組合に所属して、農業をしているというだけで搾取される賦課金、災害などに保障される水稲掛け金など。ちょっとずつ細々と引き落とされている。


収入については、我が家は、ほとんどない。
お米は、我が家で消費するか、だんなさんの弟妹に分けているため、ほとんど収入はない。定期的に購入してくれる人は数人いるが、購入頻度もまばら。
そもそも作っているお米の量が、以前の半分になっているのだから、売れる量も限られてくる。

減反政策があったころは、何もしなくても20万円程度の収入があった。
それに加えてその頃は、今の倍の量を作っていたので、消費できないお米は農協に供出し、これまた数十万円の収入があったし、この収入金額から、先述した支出額を引いても、いくらか残高があった。
労働の対価を換算すればマイナスもいいとこだったけれど、ごく身近な身内が寄って米作りをしていた我が家は、人件費など考える必要はなく、年間数万円の農業利益しかなくても、お米を作り続けることにそれほど抵抗を感じることはなかった。

減反政策がなくなり、固定資産税を農業収入から支出することが難しくなり、税金の支出は、私たちの収入から支出することとなった。
農協に供出しても、引き取ってくれるお米の一俵当たりの単価は下がるばかり。
ガソリンや軽油価格の上昇と、資材代の上昇。
ちいさな農家にとって、限りなく厳しい現実となっている。

気が付けば、農業収入で賄えない農業支出は、私たちの収入で補うようになってしまった。
年間の臨時収入であるボーナスが、農業支出の補填につかわれている。
我が家のような農家は少なくないはず。
そして、地区のほとんどの農業従事者が、年金暮らし。
これに加えて、後継者不足。
だから、みんな、農家をやめる。
お米を作るより、お米を買った方が、断然経済的。
暑い中での草刈りや毎日の水の管理、天気や病気による心配。
親戚一同会しての田植えや稲刈りによる出費と気苦労。
税金を払い続けた先にある遺産相続問題。
土地も機械も親戚の集まりも、断捨離してしまった方がいい。
そんな仕組みになってしまっている。


今の私には、土地を持つこと、農業を続けていくこと、次の世代に残していくこと、どれも不安でしかない。
命をつなぐ大切なお米を作っているはずなのに、自分の生活が脅かされる現状。
何もかも辞めてしまえばいい。
そうしたら、何も考えなくてよくなる。ラクになる。

 

でも、
本当にそれでいいのだろうか。
本当にラクになるのだろうか。

そして、
本当はどうしたいのだろう。

ずっと、思い悩んでいる。