最近は病院に行くことが多くなってきていたので、待ち時間の退屈しのぎは専ら読書。
かさばらない文庫本は、持ち歩くのにもってこい。
先日の病院のはしごの時は、午後2時からの診察だったけれど、病院に着いたのは1時過ぎでした。診察の順番を並んで待たないといけなかったので、こんなときこそ本を読みたい。でも、今読んでいる本は単行本で厚みがあって、内容も読みごたえのあるモノだったので、持ち歩いてはいませんでした。
どうしようかと一瞬悩んだけれど、幸いなことに、この病院の1ブロック先が図書館だったので、軽めの内容で読みやすそうな本を探しに、迷わず図書館へ。
ゆっくり悩んで選ぶ時間がなかったので、以前借りた棚のあたりをうろうろ。
そして見つけてきた本がこちら。
病院に戻った時は、3人の人に先に並ばれてしまったけれど、本があれば大丈夫。
早速、立ったまま並んで本を開きます。
まずは「その扉をたたく音」から。
ミュージシャンへの夢を捨てきれないまま、有力議員の父親の仕送りで怠惰な日々を送っている29歳、無職の男、「宮地」。
ある日、利用者向けの余興に訪れた老人ホームで、ホームの介護士「渡部」の神がかったサックスの演奏を耳にする。
「渡部」と一緒にミュージシャンを目指すため、「渡部」を口説きにホームに通い始めた宮地。
やがて、ホームの入居者とも親しくなり、「音楽」を通した「渡部」と老人たちとの関わり合いの中で、「宮地」自身が立ちすくんでいた人生の一歩を踏み出していくきっかけをつかんでいく物語。
はじめは自己中心的で、礼儀を知らず、能天気で「ぼんくら」な主人公「宮地」がキライだったけれど、いつのまにか応援したくなったのが不思議。
たぶん、本当は素直で優しい青年だったということが、老人との関わり合いの中で気付かされたからかな。
この物語の中には、いくつか曲名が出てくるのだけれど、テーマソングともいえるのが、アメリカのバンド、Green Dayの「Wake me up When september ends」。
それから、坂本九の「心の瞳」。
坂本九といえば、「上を向いて歩こう」。もちろんこの曲も登場するけれど、この物語で大事なのは「心の瞳」かな。どんな曲か知らなかったから、YouTubeで聴いてみました。
この曲は、老人ホームの人たちのこれまでの人生と、宮地と渡部のこれからの人生と、どちらのことも歌っているのだろうな。
もう一冊の「あと少し、もう少し」は、まだ手付かず。
瀬尾まいこさんの本は、人と人とのあったかい繋がりを感じさせてくれる。
何かに一生懸命になっていると、きっといいことがあるって思わせてくれる、そんな本でした。