農家の嫁が働きながらこっそりつぶやく独り言

~仕事のこと、農作業のこと、家のこと、子どものこと、 何気ない出来事 ~

【小さな拠点づくりの勉強会に参加する】

今週は、研修が立て続けに入っております。
というか、入れたのは自分で、研修の案内が来たのが緊急事態宣言で休館中だったので、積極的に申し込んでいたのでした(笑)。

コロナになって、いろいろと大変な世の中になったけれど、オンラインが浸透したおかげで、現地まで出張せずに講演会や講座、研修が受けれるというメリットが生まれました。
今回の研修もリアルとオンラインの両方で開催されているので、直前までセンターで仕事をしていて、時間前になってパソコンで入室すればいいだけなので、普段いけないような講演会にも日程調整がしやすく、参加しやすくなりました。
そしてまた、これまでは県庁からの研修の案内などに対し、正職員ではない私などはなんだか気後れして申し込みにくいところがあったのですが、オンラインとなると、自分で作ってしまっていた壁が取り払われて積極的な気持ちになるという、なんとも不思議な気分の変化が起こるのです。

 

今日は「小さな拠点づくり」推進勉強会に参加した内容をアウトプットします。

 

内閣府の中に、「小さな拠点づくり」情報サイトというものがあり、そのなかで、「小さな拠点づくり」が、『人口減少や高齢化の進行により、住民の生活に必要な生活サービスや機能が維持できなくなっている地域がある中、暮らしを守り、地域コミュニティを維持して持続可能な地域づくりを目指すための取組み』として注目されていると説明されています。

勉強会では、福岡県の企画・地域振興部 市町村支援課より、全国における小さな拠点・地域運営組織の形成状況や実態・特例措置の説明と、それを活用した全国の事例紹介がありました。まあ、この辺は私の中では、心動かされるほどのことはなかったのだけれど、そのあと、「プロセスコンサルテーション」について、地域活性化伝道師(株式会社イミカ 代表取締役)原田博一さんが講師としてお話された内容が、とても分かりやすく、勉強になりました。

 

「小さな拠点」というのは、地域住民が主体となった活動といえるのだけれど、そもそも、こういった活動は、地域で生活していく中で生じる問題、課題に対し、「じゃあ、こうしてみよう、ああしてみよう」というきっかけからうまれてくるもので、こういった活動は、問題を共有する集団が仕組みの下で問題解決する「共助」にあたるのだそう。
関わり合いによって生活上の問題を解決する方法の分類として、4種類あり、
①自助・・自分自身の能力で自分の問題を解決する
②互助・・家族や知人など個人的な関係性で問題解決する
③共助・・問題を共有する集団が仕組みの下で問題解決する
④公助・・公的機関が税を使って法や制度の下で問題解決する
とのことでした。

自治会の防災組織などでよく「共助」と言われるけれど、上の説明からいうと、自治会は共助とは少し違って、公助に近いことがわかります。
「小さな拠点」は、助け合う地域づくりの「目的」と、それを達成する「仕組み」に賛同した、任意の参加者による活動といえるのです。そして、「小さな拠点」という共助のプロセスは、地域運営における共助の主体を、「公から民に戻す動きである」ということを行政側が忘れてはならないということでした。

そしてもう一つ興味深い話が、私たち日本人は、公も民も、「共助のプロセス」に不慣れな状態にあるということに気付いた方がよいということでした。
そもそも、明治政府が発足し、市制、町村制が機能するようになったころは、福祉の分野は家主体(互助)、集落維持は地主が主体(共助)、教育は公助(行政)というふうにすみ分けていたものが、戦後の農地改革や産業化に伴い、国民に会社勤めをしてお金を稼いでもらい、会社や個人がより多くの税金を払うことで、ほぼすべての機能を行政主体(公助)でまかなってきたというのが、ここ70年間の日本なのです。

だから、民の方に、「行政がしてくれて当たり前」「行政が何とかしてくれる」という意識があって当然で、公の方も、「行政が住民をリードしなければ」「行政が仕組みを作り、存続させて目的を達成させなければ」といった意識を持ってしまっているのです。


でも、「小さな拠点づくり」において、もし、「公助のプロセス」で「共助」を立ち上げている実際があるとすれば、それは、「地域運営における共助の主体を、公から民に戻す動き」を公が主体で行っている・・・という矛盾な状態にあることになるのです。
ここで大切なのは、住民が自らの地域の問題を発見し解決策を考えて実践できるよう、私たち行政は、その取り組みの過程を支援する、つまりは、「伴走支援」というスタンスを忘れてはいけないということなのです。

自分たちの問題を自分たちで解決しようとする人々の隣に立って同じ方向を向き、同じ景色を見ること、問題を解決するという本質は変わらないものの、日々の暮らしを安定させる、維持させるということに意識を向けた公助のかかわりではなく、現状を変えていく、新しい価値を作っていくという変化と創造に意識を向けた共助のかかわりをしていくこと、それが小さな拠点づくりにおける、公の「プロセスコンサルテーション」な態度ということになるのです。

住民個々人が主体的に考えられる状況をサポートし、立場や年齢に関係のない対話と協働の土台をつくり、できることから小さく初めて、試行錯誤しながら、適切な評価と適切な介入により仕組みを育てていく、そういう価値観、態度、援助の方法について、このタイミングで学べたことは本当に良かったと思いました。

この話のあと、「プロセルコンサルテーション」を踏まえたグループワーキングをしたのだけれど、私たちのグループは、まちづくりや地域づくりって、結局、人とのつながりだよね、っていう結論になりました。血の通った地域住民との関わりを大切にすることで、「小さな拠点」があちこちにできていくのではないかな・・・と期待しながら、私はこのセンターでアンテナを張り続け、人と人、人とグループ、グループとグループを繋げていけたらいいなと、明るい気持ちになったのでした。

 

参考までに・・・

www.cao.go.jp