農家の嫁が働きながらこっそりつぶやく独り言

~仕事のこと、農作業のこと、家のこと、子どものこと、 何気ない出来事 ~

【人権講演会 人種差別って、遠い国の話ではなかった】

センター大ホールにて、人権講演会。

今回の講師は、ソ・マミさん。漢字で書くと、徐・麻弥さん。
演題は、「共に生きる社会へ ~ヘイトスピーチを体験して~」


そういえば、今回もポスター制作担当してたんだった。


徐・麻弥さん、在日朝鮮人3世。
朝鮮半島にルーツを持つ」からといっても、その表現は様々ということを知る。
徐さんは、お父さんが在日朝鮮人2世で、お母さんが日本人。
そして、お父さんの父方は韓国在住だけれど、母方はピョンヤン在住。
朝鮮戦争で引き裂かれてしまって、例えるならば、「日本がある日突然、西日本と東日本に分けられて別の国になる」みたいなこと。そして、その戦争はまだ続いているのだということに気付かされる。
お父さんのルーツが北朝鮮と韓国にあるから、徐さん自身は「朝鮮人」と名乗っているそう。
「コリアン」となると、南北を問わない朝鮮人となるため、そう名乗る人もいるのだとか。
まさに「多様」。
表現の仕方一つだけでも、知らないことばかりだし、深く考えもしなかったし、気付かなかった。

徐さんはまだ30代。
民族名を名乗るようになったのは大学進学時。
それまでは日本名を名乗る。
そのきっかけになったことや、カミングアウトをしたときの周りの反応などもお話してくれた。
弟と妹がいるのだけれど、日本の法律の改正なんかで(詳しいことは忘れてしまった。国籍法だったような気がする)徐さんは韓国籍だけれど、弟と妹は日本国籍なんだそう。同じ「家族」なんだけれど、翻弄されて過ごしてきたことは想像に難くない。

民族名を名乗り、朝鮮文化研究会で学び活動するようになると、あからさまに敵意や憎悪をぶつけてこられるようになったそう。そしてそれは、必ずまったく知らない人から。
ヘイトスピーチにより、恐怖を味わい、ショックを受けただけでなく、知り合いや友人の中に、ヘイトスピーチは「表現の自由」だから仕方のないことだと認める空気があることにも絶望を感じたことがあるそう。
全く知らない人から、突然、「朝鮮人が憎いから殺したい」「気持ち悪いから出て行け」「クニに帰れ」などと言われることが、表現の自由なのかと。

民族名で生きていく決心がつかず、日本名で、日本人の鎧を被って生活している人もたくさんいる。
人種差別だけでなく、障がいや多様性のある人たちが、自分らしく生きていける世界というのは、程遠いのだなと思う。
そして、障がいや多様性を持つ人たちと自分は違うのだと一線を画す考えが、実は、型にはまって窮屈な、自分自身も生きにくい世の中にしているのかもしれない。

知らないことを知る、自分の世界を広げるには、いろいろな立場の、たくさんの人の話を聞くことが大切だなと改めて思う。