農家の嫁が働きながらこっそりつぶやく独り言

~仕事のこと、農作業のこと、家のこと、子どものこと、 何気ない出来事 ~

【土を喰らう12か月を観に行く】


観たかった映画を観ることができた。
『土を喰らう12か月』。
11月末に、この映画の上映場所と上映スケジュールを確認したら、公開はどこも12月8日まで。
スケジュールを調整して、エイヤって車をとばして見に行ってきました。

原作は『土を喰う日々』。
読んでる途中だったけれど、そんなの構わない。
本の内容は、著者水上勉が少年時代を過ごした京都の禅寺で、精進料理をはじめ、その他教わったことを季節ごと1か月ごとにまとめたエッセイ。

映画では、沢田研二がすごくいい。
優しくて自然でそしてやっぱり色っぽい。
色っぽさなんて全然出していないのだけれど、そんなシーンなんて全然ないのだけれど、おなかの出た冴えない初老なんだけれど、色っぽさが滲み出てくる。そしてそれが全然イヤミではなく心地よかった。

映画を観て思ったのは、「人(というか、私)は求めすぎなんだな」ということ。
目の前にある豊かさに気付かず、目の前にないモノばかりを追い求め欲張りすぎている、そう感じたのです。
あるモノだけで、質素だけれども、丁寧に余すところなく料理をしていただく。
「ご馳走」とは、畑にあるものを把握して、台所にあるものを掛け合わせて、モノも知識も経験も総動員して、あれこれ走り回って創る料理。高価なものなんて必要ない、それこそが「ご馳走」なんだと。
私なんかは、普段料理をすることが「義務」になってしまっているから、作ることも食べることも「楽しんでいる」主人公が本当にうらやましい。
「求めすぎないこと」を感じながら、シンプルだけれども美味しく食べること、しあわせの価値、生き方について追求したくなる映画。なんとも不思議。

 

映画の中でちょこちょこ出てくる原作の文章を、沢田研二が主人公の言葉として語るのだけれど、その語りがとても心地よかったので、読みかけの本は、また最初から戻って味わおうと思っている。なんだかそんな時間も幸せで贅沢に感じる、そんな映画でした。