農家の嫁が働きながらこっそりつぶやく独り言

~仕事のこと、農作業のこと、家のこと、子どものこと、 何気ない出来事 ~

【初対面のご婦人に叱られる】

今日は本当に「たまがった」ことがありました。
「たまがった」って方言で、びっくりした(゚д゚)!っていう意味。
もう、標準語では盛り上がらないので、「びっくらこいた!」くらいなイメージです。
そして、あまりにびっくらこきすぎて、そのあとも自然体でいられないくらいです。正直、今も(笑)。
どうしてこんなに動揺しているのでしょうね。本当は泣きたいくらいなんですよ(笑)。

なにがあったかというと・・・

 

義母は民生委員をしておりまして、今日は支部の視察研修に出かけておりました。
研修の集合場所は、私が勤務するセンターで、駐車場に民生委員さんの車8台を駐車させてもらい、マイクロバスでセンターに送迎という手続きになっておりました。
帰りは午後2時ごろで、無事にマイクロバスが到着し、義母をはじめ、民生委員のみなさんが、駐車場使用のお礼を伝えにセンター事務室にあいさつに来てくれました。

私もロビーで対応し、顔見知りの民生委員さんなどとおしゃべりをし、視察先が新設された飯塚市の消防署で、とてもよかったなどという感想を伺っておりました。
そうしていると、飯塚市が追加で募集している「プレミアム商品券」の申し込みの話になり、義母が、申し込み方法を尋ねてきました。
そういうわけで、私が、
「ここに住所とばあちゃんの名前を書いて、この箱の中に入れたらいいよ。あとは抽選やけ、当たったらこのはがきが届くと思うよ。」などと義母に説明をしていたのですが、途中急に、民生委員のお仲間であろう女性が、
「ちょっとあなた、自分のお姑さんのことを『ばあちゃん』なんていうもんじゃないよ!!失礼よ。」とかなりの剣幕でおっしゃるのです。
とってもびっくりたまがりまして、
「あっ、すいません。失礼しました。」と反射的に口を押えて謝りました。
そうすると、その女性は、
「私もお姑さんと一緒にいたけれど、最後まで『おかあさん』で通したのよ。あなたもこの年になったらわかると思うけれど、『ばあちゃん』なんてそんな言い方するもんじゃないよ。気をつけなさい!!」
そして、義母の方を見ながら、
「この人は『ばあちゃん』なんて呼ばれて、内心なんて思っているかは知らないけれど、いい思いはしていないと思うよ!」
と一方的に続けるのです。

それを聞いて、義母は、
「うちは、主人も私のこと『ばあちゃん!』っていうからね」
と笑いながら言い、続けて、
「家の中の一番小さいものから見た言い方がその人の呼び方って言うからね。」
と言ってくれたのだけれど、その人は、
「だからといって、『ばあちゃん』はおかしい、失礼よ!!そんなのおかしい。いい、そんなふうに言っちゃだめよ、わかった!?」
と強くおっしゃるので、あまりの言いようにびっくりタジタジで、
「はい、すみません、きをつけます。」
と平謝りして、すごすごと事務所へ逃げ込んだのでした。

ああ、びっくりたまがったーーー。
大人になって、あんな人前で一方的に叱られたのって初めてかもーーー。
しばらく驚きで指先が震えて、仕事が手につかないくらい(笑)。
そして、作成していた文章がまったく頭に入らない(笑)。
そんな自分に、これまたたまがったわけで・・・。

見ず知らずのご婦人に一方的に言われたこと、
人前で叱られたこと、
私が動揺したのはそんなことではない。もちろん、それもあるけれど。

私が義母のことを『ばあちゃん』と呼ぶことを、義母はどう思っているのか、真相を知らないこと、このことが私を大きく惑わせているのだと確信しているのです。

もちろん、最初から『ばあちゃん』と呼んでいたわけではないと思う・・・。
いつから『ばあちゃん』になったかなんてわからないんだよね。
義父も、旦那さんも、こどもたちも、みんな義母のことを『ばあちゃん』と呼んでいます。そして、家族全員がおそらく、その呼び方の最後にハートマークがつくほどの親しみを込めてそう呼んでいると、私は思っているのです。

5年ほど前まで、大正生まれの大姑、いわゆる旦那さんの祖母も一緒に暮らしていて、私は大姑のことは、『おばあちゃん』と呼んでいました。義母も旦那さんもそう呼んでいました。義父は相変わらず『ばあちゃん』だったかな。
こどもたちが小さかったころは、大姑のことを「ひいおばあちゃん」って言えなくて『びーびーちゃん』って言っていたのですが、その呼び方がそのまま続き、大姑が亡くなる頃は、子どもたちはそれぞれ小学生だったのだけれど、結局最後まで『びーびーちゃん』でした。
もしかしたら、大姑との区別をつける意味で、義母のことを『ばあちゃん』って言ってたのかもしれない。一緒に生活するうえでそう呼びかけるほうが、よかったというだけなのかもしれない。
でも、けっして義母のことを悪く思ってだとか、馬鹿にしてだとか、見下してだとか、そんな気持ちはなくて、むしろ逆。それだけは確かなんだけれどな。


仕事から帰ったら、私は義母のことを「おかあさん」って呼んだ方がいいのだろうか。
それとも少し丁寧に「おばあちゃん」って言った方がいいのだろうか。
なんか急にそんな言い方するのも恥ずかしいし、難しい。
なにより、なんだかよそよそしく感じちゃう。
でも、そんなふうに義母に声を掛けたら、義母はどんな反応をするだろうか。そして、義母は今日のことをどんなふうに思っているんだろうか、帰ったらなんか言ってくるかな・・・
仕事中、ちらちらとこんなことが頭をよぎる。
そして、私は義母にずっと無礼を働いていたのだろうか。
子どもたちにも『ばあちゃん!』っていう言い方をたしなめる立場でなければならなかったのかな。
そんなことも考えて、悲しくなったりもする。
そしてずっと悶々としているのです。
これまでの私のこの家でのあり方を見知らぬご婦人に全否定されたかのような、打ちのめされた気分になってしまっているのです。



夕方帰宅してから、義母はこのことは一切口にしていません。
いつも通り一緒におしゃべりしながら台所に立ちました。
私も何も言っていません。
そして、いつも通り『ばあちゃん』って言っています。
ちょっと言い方が不自然な気もするけれど。
意識しすぎて、歩くときに右手と右足が一緒に出ちゃう、そんな感じもあるけれど、それでも今まで通りが私はいいなと思っているのです。


ただの同居じゃないからね。
いろいろありながらも、一緒に田畑で汗かいて、一緒に着物でお出かけして、一緒に笑い合って助け合っている、そんなつもりでいるのだけれどね。
一緒に過ごした濃厚な時間が、『ばあちゃん!』に表れている。私はそう思いたい。


義母に真相を尋ねたいけれど、そんな勇気はありません。
それでいいのかな。
義母ももしかしたら悶々としているのかもしれない。

そして私は、あのご婦人に「叱られた」のだろうか「怒られた」のだろうか「諭された」のだろうか。
どちらにしても、悲しい気持ちになって、人知れず涙がこぼれそうになりながら、うまくまとめられないまま今日のことを振り返っているのです。