農家の嫁が働きながらこっそりつぶやく独り言

~仕事のこと、農作業のこと、家のこと、子どものこと、 何気ない出来事 ~

【おかんの不調】

土曜日の朝、実家のおかんからライン。
「昨日から具合が悪い」
「ゲロ吐いて、寝てる。仕事を休んだ」と。

「ゲロ吐いて」とか、リアルすぎる表現(-_-;)なんて思いながら、電話をかけてみると、電話に出るけれど声が聞こえない。携帯の不調かと思いきや、そのあとすぐにラインが来て、
「具合が悪いから、またあとで」
と、ものすごい変換ミスで送られてきた。
そして最後に、
「相談がある」

ありゃ、これって電話じゃダメなパターンじゃないかな。
でも困ったな。今日は昼までお仕事で、途中ワクチン2回目接種だし、明日は稲刈りで、午後は準備があるんだよね・・・。
バババババっと頭の中で今後のスケジュールと優先順位をつけてみるけれど、やっぱり親の体調不良は放ってはおけない。
そういうわけで、
「昼から行くね」
とおかんにラインを送る。

午前の仕事を終えて家に帰り、昼食を食べて事情を話し、実家へと向かう。途中経口補水液とゼリーを購入。
どうか私の副反応が起こりませんように。
そう思いながら1時間半車を走らせ実家へ。


実家に着くと、おかんはおとなしく布団に横になっている。
熱はないけれど、めまいがして、そのせいで嘔気、嘔吐しているとのこと。
とりあえず、経口補水液をゆっくり一口ずつ時間を空けて飲ませる。
しばらくすると、布団に寝転がったまま、体調不良の心当たりを一気にしゃべりだした。

実際に体のだるさを感じだしたのは月曜日くらいから。
重い体で仕事をこなし、日常生活もこなしていたとのこと。
そして、体調不良の主な原因は仕事のストレスだと思うと。

おかんはヘルパーをしているのだけれど、所属するセンターの支部の統廃合が決まり、現在リーダーや主任クラスの異動が行われ、加えてヘルパーの不足によるしわ寄せがおかんに来ているとのこと。時間の融通が利いて、仕事の手際が良くさばけていて、いろんな疾患のある利用者さんとの関係も無難にこなすおかんの存在は、センターにとってはありがたいのだろうけれど、慣れない利用者さん宅への代行や、いつまでも暑い中での入浴介助の追加、利用者さん宅への車での往復など、最近はしんどいことのほうが多くなっている・・・といったことを話してくれた。

そして、おかんは来年2月に72歳になるのだけれど、
「75歳まで仕事を続けるつもりでいたけれど、センターの統廃合と、仕事が負担に感じるから、辞めてもいい?」
と私に尋ねてきたのだ。
20年くらい前に一念発起してヘルパーの資格を取り、その後ずっと続けてきた仕事。
おとんの病気が分かった時も、おとんが亡くなった時も辞めなかった仕事。
もう少し、仕事の量を減らして続けるつもりでいた仕事。
その仕事を、辞める気持ちでいることに、迷いを感じているのだろうか。

「辞めたらいいやん。体壊してまですることないし、これまでよう働いてきたんやけ」
私がそういうと、
「ああ、よかった。辞めるな、今後のお金はどうするんか!って言われるかと思った」
と、ものすごく脱力しながら言うおかん。

私にそんなん言う権利ないよ。
おかんの人生だから、おかんがやりたいようにしたらいいよ。
体壊してまですることないよ。
お金はどうにでもなるけれど、健康はどうにでもならんからね。
おとんが亡くなって、もうすぐ13年。
好きなことしたらいいよ。
お金なくなっても、お米と野菜はあるからね。

そんな話をすると、ものすごく気分が楽になったようで、アイスクリームが食べたいと言い出した。
他に必要なものを挙げてもらい、近くのスーパーまで買い物をする。それから、洗濯ものを片づけたり、洗い物を片づけたりした後、一緒にアイスクリームを食べたのだけれど、その頃には、おかんのめまいもずいぶんとよくなっているようだった。


おうちが大好きで、一人でガサゴソするのが大好きなおかん。
以前の私は、おかんが仕事を辞めると社会との繋がりが希薄になるのではと心配していたけれど、今回は、好きなだけ引き籠って、外に出たくなったら出ればいいし、好きな時に好きなことを楽しんだらいいと素直に思った。

これまでずっと働き通しだったことに感謝しているし、すこしでも長く元気で過ごしてほしいと思っている。私が背中を押したことで、おかんはやっと、自分の時間、自分の好きなことにどっぷりと浸かれるようになったのだ。
今回のことは、一つ、親孝行をした、そう思うことにした。

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帰りの車から見た景色。
月と一番星と宵の空。