農家の嫁が働きながらこっそりつぶやく独り言

~仕事のこと、農作業のこと、家のこと、子どものこと、 何気ない出来事 ~

【長くて苦痛に満ちた時間】

連休が無事に終わった。
正確に言うと、何事もなく時間が過ぎてくれた。
正直、ものすごく憂鬱な時間を過ごしていた。
憂鬱さは、軽減したとはいえ、今だ続いているのだけれど。
それでも、時間の経過は、私の気持ちを幾分和らげてくれている。

憂鬱さの理由・・・それは、
濃厚接触者として、
PCR検査対象者になるかもしれなかったから。

長文になってしまったけれど、
ことの流れを記しておく。

連休前に、市内の高校でクラスターが発生した。
高校の生徒・教職員全員がPCR検査を行い、
陽性反応が出た生徒・教職員の家族が濃厚接触者として
保健所からの連絡でPCR検査を行い、
さらに陽性反応が出た人の濃厚接触者が自宅待機とPCR検査。

その繰り返しで、ついに、市役所の職員の感染が判明。
私は、感染した職員の席とすぐ隣の職員と
そんな状況になっていることなど知らず、
5月1日の出勤時に、コーヒーを飲みながら
まちづくりについて熱く語り合っていた。

私が連絡を受けたのは、5月3日のお昼ごろ。
まちづくりについて語り合った職員からの連絡で、

①保健所からの連絡待ちで自宅待機になっている
②課内の職員、隣の課の職員全員が自宅待機の状況
③もし自分が検査をして陽性だったら、
 濃厚接触者として保健所より連絡がいくと思う

という内容だった。

連休で草刈りなどの手伝いで義妹一家が帰省しており、
家の中には大人子ども、総勢10名が生活していた。
自分が感染した時の影響力の大きさを考えると
全身の血液の流れが逆流するような感覚を覚え、
不安、先の見えない恐怖に圧倒され、
急性ストレス症状として、おなかが緩くなってしまった。

私はもうこの時点で、
自ら隔離状態になったほうがいいのだろうか・・・
家族に今の状況を話すことで、
なにかしら不安を与えてしまうのではないだろうか・・・
そうなると、義妹一家はどうなるのだろうか・・・
答えのないとりとめのない考えが頭の中をめぐる。

不安な気持ちを一つずつ解消するために、
「そもそも、濃厚接触者って、どんな定義?」
そこから調べ直した。

 

 

国⽴感染症研究所の定義によると、新型コロナウイルス感染症と診断された患者と以下のような状況で感染可能期間に接触した者とされています1。なお、感染可能期間とは、コロナウイルス感染症を疑う症状を呈した2⽇前から隔離開始までの期間とされます。この定義は、WHO の「世界におけるCOVID-19 サーベイランスに関する暫定ガイダンス(Global surveillance for COVID-19 caused by
human infection with COVID-19 virus Interim guidance 20 March 2020)」を参考としたものです。

 患者(確定例)と同居あるいは⻑時間の接触(⾞内、航空機内等)があった者
 適切な感染防護無しに患者(確定例)を診察、看護もしくは介護していた者
 患者(確定例)の気道分泌物もしくは体液等の汚染物質に直接触れた可能性が⾼い者
 その他:⼿で触れることのできる距離(⽬安として1メートル)で、必要な感染予防策無しで、患者(確定例)と15分以上の接触があった者(周辺の環境や接触の状況等個々の状況周辺の環境や接触の状況等個々の状況から患者の感染性を総合的に判断する)。

1 国立感染症研究所新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(2020 年 4 月20 日暫定版)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9357-2019-ncov-02.html

 

日本医師会ホームページより抜粋ー

 

 

憂鬱な時間がいつまでも過ぎ去らず、
長い長い時間をかけて、やっとその日の夕方、
「濃厚接触者に該当しないということで、職員の自宅待機は解除になった」 
という連絡が届いた。

「発症2日前から」がポイントとなったみたいで、
全身が脱力するくらいものすごく安堵したのだけれど、
それでもやはり「もしかしたら・・・」という疑念は晴れない。
自分だけならいいのだけれど、
もしもの時のその影響力の大きさを考えると、不安感はぬぐえない。
このことは容易に口に出せる内容ではなくて、
慎重に、でも的確に話さなければ、家族を不安にさせるだけ。
では、どうしたらいいのだろう・・・

そうした状況の中でアップされた5月3日夜の市役所のSNSの記事を貼り付けておく。

 
飯塚市職員の新型コロナウイルス感染症陽性患者の発生について(1例目)
令和3年5月3日(月曜日)
飯塚市役所に勤務する職員が、本人の申し出により令和3年5月3日(月曜日)に新型コロナウイルスに感染していることが判明しました。
1 概要
年齢   50歳代
性別   男性
居住地  飯塚市
所属   地域公共交通対策課(直接市民の方との窓口対応を行っていない職員)
経過
  当該職員の関係者がPCR検査の対象者となったため、4月30日(金曜日)に出勤後すぐに退勤し、自宅待機していた。
令和3年5月2日(日曜日)に当該職員がPCR検査を受け、令和3年5月3日(月曜日)に新型コロナウイルスに感染していることが判明したもの。
2 本市の対応
4月30日(金曜日)当該職員の退勤後すぐに執務室等の消毒を実施しました。
保健所に確認したところ、市役所職員において当該職員との濃厚接触者はいませんでした。
 

飯塚市Facebookよりー

市のSNSでここまで詳細に報告されることにも驚愕した。
この内容ではほぼ個人が特定できる。
自分が感染したら、このようにSNSにあげられるのだろうか。
不安感が煽られる。

夜、草刈りで疲れているにもかかわらず
眠れそうになかったので、
旦那さんにそっと話を聴いてもらう。

旦那さんの第一声。
「大丈夫よ。心配せんでもいいよ。」
「でも、もし感染しとったらどうする?」
「その時はもうしょうがないよ。
 でも、保健所は心配ないって判断している。
 だから、今回の感染の可能性としては低いと思うよ。
 最低限気を付けていたのなら、もうどうしようもないから、
 心配せんでいいよ。」

一番身近な人に、心配事を受け入れてもらい、
大丈夫だと言ってもらえる、これほど心強いものはない。
実際、「心配で眠れないかもしれない」って言っておきながら、
肉体労働で疲れていたこともあって、その夜は、
安心感を得て、旦那さんよりも早く眠りについた。


今回のコロナの波は、今までの波とは明らかに違う。
これまで報告されていた感染者数を、
私は、「対岸の火事」のようにとらえていた。
数字としてあがっていても、身近に感染した人はおらず、
実態としてとらえどころのないというのが正直なところだった。
ところが、3月末からの感染者の増加に伴い、
日々報告される感染者数の中に、
自分の周りの人、知っている人が含まれる日が続くことになった。

そして今回のクラスターを伴う感染者数の増加。
クラスターが市内の高校で起こったことも、
私を神経質にさせている。
兄弟姉妹を介して、簡単に感染が広がっていくから。
子どもたちに感染の心配が及ぶのは避けたい。
その思いは、自分の子どもだけではない。
子どもたちが頑張っていること、当たり前の学校生活をできるだけ
当たり前に過ごせるように願っている。

今できること、それは、
一人一人が気を付けて生活をしていくことしかないのだと思う。
自分を守ることが、大切な人を守ることだということを強く意識して、
この厳しい状況を乗り越えていくしかないのだと思う。

私はまだ、「もしかしたら自分が感染しているかもしれない」
という不安感をぬぐい切れていない。
「症状が出ないだけかもしれない」という緊張感も持っている。
だから、こまめに手を洗い、マスクをし、
必要のない場所にはいかないようにし、
行かねばならないところは最小限にとどめるようにしている。

今後、自分が予防接種を受けたとしても
様々な事情で予防接種を受けれなかった人を守るために
マスクをし続けるかもしれない、今は、そんなふうに考えている。

とにかく、こんなに苦しい思いをするのはもう勘弁。
不安で一分一秒が長く感じられ、苦痛に満ちていた。
こんな思いを家族がすることのないように、
自分の周りの人たちが安心して過ごせるように、
そう強く願っている。