農家の嫁が働きながらこっそりつぶやく独り言

~仕事のこと、農作業のこと、家のこと、子どものこと、 何気ない出来事 ~

【萩焼のお茶碗】

お茶のお稽古日。
3月は釣り窯。

軸:「春入りて千林処々鶯」花:寒アヤメ


五徳の上に釜をおいて湯を沸かすのが通常。
3月は、五徳を外し天井から窯を吊るして湯を沸かす。
今日は初炭のお手前をしたのだけれど、
種火からうまく炭に火が移り、炭が燃えて赤くなっている。
美しい熾火。
炭が燃えて、熱された空気が炉の中で循環し、天井から釣った窯がゆらゆらとゆっくり揺れる。
三寒四温という言葉があるように、春も、行きつ戻りつしながらゆっくりと訪れている。
そういうことを感じさせてくれる3月のお稽古。


茶入荘


縁あって、数日前に私のところに来てくれた萩焼の茶碗。
茶碗の作者は清水啓功。
木箱もついていて、大事に大事に梱包されて届けられた。

このお茶碗が最後に使われたのはいつだろう。
よくわからないので、お茶を入れる前に、まずは水を入れてしばらく置いておく。
すぐにお茶を点ててしまうと、素地にお茶が入り込み、色やにおいが沈着してしまう。
それを防ぐために、まずは水を入れ、それからお湯を入れて目止めをした。
これは、土鍋の使いはじめに、米のとぎ汁を入れて沸騰させるのと同じこと。
大切に長く使うため、最初のお手入れは欠かせない。

今日のお稽古で、早速先輩が濃茶を練ってくれた。

美味しく頂戴しました

このお茶碗は、しばらく先生宅に預けることに。
社中のみなさんに使ってもらいながら、馴染ませていく。
萩焼は、「萩の七化け」という言葉があるように、使い込むほど器の風合い、色合いが変わっていく。
素朴な印象の器だったけれど、だんだんと優しくやわらかな風合いになっていくといいなと、勝手に期待している。
そして、これまでのこのお茶碗の物語がどんなものだったかは分からないけれど、これから新しく物語を書き加えていくことができるんだなと思うと、心が弾んでくる。
譲ってくださった方に、いつの日か、おいしいお濃茶を差し上げる、そんな日が来ることを期待している。