農家の嫁が働きながらこっそりつぶやく独り言

~仕事のこと、農作業のこと、家のこと、子どものこと、 何気ない出来事 ~

【お彼岸】

お彼岸。

コロナの前は、お彼岸はとにかく忙しい一日だった。

朝からおはぎ作り。
前日までに一升分の小豆を炊いて餡を作る。
朝食を食べながら、これまた一升分のもち米を炊く。
簡単な身支度のあと、おはぎを作っていく。
いったい何個のおはぎを作っていたのだろう。

神様、仏様にお供えする。
「うちは、ご先祖様がたくさんおんなさるから(いらっしゃるから)」
と、亡くなった旦那さんの祖母は、真っ白いお皿に出来上がったおはぎを積み重ねるようにしてお供えしていた。
それは、今でも変わらない。

それからお客さんのお土産用。
折り箱に5~6個入れて持って帰ってもらう。

作り終わる頃、お参りのお客さん。
亡くなった義祖父の妹が来る。
亡くなった義祖母の妹も、娘に連れられてやってくる。
義父の弟、義父の妹。
それから、たいてい、春分の日の前日から旦那さんの妹一家が帰省していたし、どうかしたら、昼前に来る人もいたりして、昼食も準備しなければならなかった。

そんなお彼岸も、コロナと、来客の高齢化で静かな日となった。
今日なんて、誰もお参りに来なかった。
義妹一家も、子どもたちの習い事などで、帰省の回数はすっかり減ってしまった。
あんなにあわただしくてにぎやかだった、ほんの数年前からすれば、嘘みたいな静かな一日。

だれも来なくても、おはぎは作る。
今回は8合分の小豆を炊いた。
いつものようにお土産用に折り箱につめる。
日中、私は仕事で居ないけれど、明日以降、お参りに来た親戚に渡すことだろう。

大変だったことが、時間が経つにつれて、だんだんとそうでなくなっていく。
だけれども、別の新しい大変なことが、いつのまにか身近にある日々。
あの頃のことを懐かしく思い出したりするには、まだ時は浅すぎる。
でも、あの頃の私に教えてあげたい。
大変だと思っていたことは、必ず終わりが来るよって。

静かなお彼岸は、ご先祖様にとっては、寂しいだろうな。
そう思いながら、余ったもち米を丸めてきなこをまぶして、ほおばった。