おうちの引っ越しの
細々した片付けがなかなか進まない。
こどもが小さかった頃のものが
あちらこちらから出てきて、
いちいち感動してしまうから。
当時は一つ一つが宝物だったはずなのに、すっかり忘れてしまっていて、
そういえば、こんなことがあったんだって、
次から次へと、エピソードが思い出されるのです(笑)
「うさこちゃん」もその一つ。
もともとは、出産のお祝いでいただいた、授乳用の腕にはめる枕でした。
登園を渋る長男を励ますため、たまたま使わずに引き出しに入れっぱなしにしていた
授乳用まくらのうさぎに頑張ってもらってました。
「うさこちゃんが来て、励ましてくれたよ」
と、うさこになりかわり、お手紙を書いたりしてました。
覚えたばかりのひらがなを使って、
返事を長男が書いて、かんたんな文通をしたんだっけな。
長男が知らない間に、うさこちゃんはやってきて、
お手紙をおいて、いつもそっと見守ってくれている、
そんな役割を担ってくれていました。
当時、自分のおうちだと言って、大きな段ボールの中に入り、
うさこちゃんが遊びにきてくれたらいいなって楽しみにしていました。
しばらくして姿を現したうさこちゃんは、長男の大事なお友達になりました。
水玉のお洋服は、長男が縫ったもの。
針に糸を通してあげて、しつけをしてあげてたら、
あとは長男が上手に縫って仕上げました。
水玉の布も、彼が選んだはず。
お洋服を着せてあげたいって、急に言い出したと、記憶しています。
片付けの最中に、うさこちゃんが、ぬいぐるみが入ったBOXの奥から登場して、
うさこちゃんへのお手紙が、私の引き出しの奥から出てきたりして、
いちいち手を止めて懐かしさに浸ってしまうものだから、
片付けが進むはずはありません。
長男も、
「うさこちゃん、おったねー。確かに!! 懐かしい!!」
と、頬をほころばせて喜んでました。
そして今、うさこちゃんは、長男の部屋のタンスの上にいます。
小さなぬいぐるみが、自分を励ましてくれる、自分の味方でいてくれる。
長男は、うさこちゃんの存在を信じていました。
それをなるだけ壊さないように、私もあれこれ頑張ってました。
すごくすごく、懐かしい。
あの時は、なんとか幼稚園に行ってほしい、どうして行けないんだろう、何が悪いんだろうって、割と思い悩んでいた時期だったはずなのに、今となっては、そんなことよりも、うさこちゃんとの思い出のほうが、はるかに楽しい記憶として思い出されるのです。
長男とうさこちゃんのエピソードは、
絵本、「ラチとらいおん」みたい。
弱虫のラチのもとにやってきた、小さな強いライオン。
小さな強いライオンがそばにいてくれるだけで、
ラチは、少しずつ強くなっていきます。
ある日、友達のボールを奪ったのっぽの男の子を
勇気を振り絞って追いかけて、ボールを奪い返したラチ。
気が付くと、らいおんがいません。
あわてて家に戻ると、らいおんからのステキな手紙が残されている。
そんなお話。
片付けは大変だけれど、こんなあったかいエピソードを思い出すことができて、
あの時、一生懸命になって、奮闘していてよかったなと少し、思ったのでした。