農家の嫁が働きながらこっそりつぶやく独り言

~仕事のこと、農作業のこと、家のこと、子どものこと、 何気ない出来事 ~

【行かない方がマシ、を越えて】

ライブに行ってきた。
結婚してから初めて。
うん十年ぶりすぎて、ライブって何?どうすればいいんだったっけ?ていうくらい。
しかも、ドーム。広すぎるよ、ドーム。

35TH ANNIVERSARY DOME LIVE 2025「SOUL」

ゲート入場後アリーナへ降りていく。

広い広い空間に何万人の人が集っているのだろう。
野球観戦とは全く違う空間。
広さに圧倒され、広いのに息苦しくなる。
ライブって、こんなだったっけ?
吸い込まれるようにアリーナへと降りてゆく。
間もなく、暗転した会場にギターが鳴り響き、3センチくらいの福山雅治が白く浮かび上がる。
遠くで私の福山雅治が歌っている。
スクリーンに映し出された福山雅治は、相変わらずかっこよかった。

暗闇の中、曲に合わせて色とりどりの光が演出されるステージにくらくらしながら、エネルギッシュでカッコイイ曲に合わせて両手を振り上げて一緒に歌う。
やばい、このままこれが続いたら体力持たない。
そう思うころ、MCが入り、みんなで座って、じっくりしっとり低音ボイスに酔いしれる。
それから後半戦、懐かしい曲と最新の「万有引力」と話題の「クスノキ」で、一気に福山ワールドのクライマックスへ。



幸せだった。
3センチだった福山雅治は、センターステージでは5センチになってくれた。
「ありがとう!ありがとう!」
っていう福山雅治に、私も何度も「ありがとーーー」って言いながら手を振った。



思い切って出かけて、本当によかった。
誘ってくれて、チケットを取ってくれて、車を出してくれた友人に感謝。

でも、出発までの裏側では、いつもの葛藤があった。
出発ギリギリまで、義父の機嫌にハラハラし、あれこれ気を揉んで、畑仕事を放って出かけることに後ろめたさを抱きながら、私と家族とのご機嫌をうかがいながら、晩御飯の準備して、万事整えて出てきた。

こんな思いをして準備するのだけれど、さらに、嫌味を言われてイヤな気分になったりするのが嫌で、これまでは極力出かけることを避けてきていた。
やりたいことも、行きたいところも、畑仕事と米作りと食事の準備と義父母のご機嫌うかがいを考えると、すべてが面倒になって、行かない方がマシってあきらめてきた。

どうして私だけ、こんな思いをしているのだろう。
そう思うと泣けてくる。
胸の奥にしまい込んできた数々のやりたかったことがあふれ出てくる。
でも、やっと、こんな思いを抱えながらも、実行に移せた。
怖さも後ろめたさも消えはしなかったけれど、それでもびくびくしながら、足を踏み出した。
「行かない方がマシ」と、思いを封じ込めることは、これから先もきっとたくさんあることだろう。でも、あの日の夜は、確かに自分を解き放ったのだ。
少しずつ、少しずつ。
殻を破り、壁を越えていく。