今朝、まだ夜明け前のこと。
いつものように朝食の準備をしながら
夕食の準備をしながら、お弁当作り。
家の裏の畑に野菜を採りにいこうと思い、
まだ暗闇の中、懐中電灯を頼りに勝手口から外に出ました。
雨降り前の湿気を帯びた空気。
その湿り気のある空気全体に、まるでまとわりついたかのように、甘い甘い薫りが満ちていて、思わず動きが止まってしまった。
びっくりしたけれど、何度も薫りを吸い込んで、確信しました。
「ロウバイの薫りだ!」
勝手口を出て、引き出しから包丁を取り出して、裏の畑へとつながる坂道をあがると、一層強い薫りが満ちている。
人が寝静まって、誰もいない夜の間のロウバイの呼吸が、隠しきれないくらいの命の輝きとなって夜明け前の静寂を包んでいる・・・
そんな感じ。
野菜を採り終わって、冬の冷たい空気に触れた野菜を抱えたまま、ロウバイの木の下へ行ってみる。
不思議なことに、ロウバイのそばへ近づくほど薫りは薄まっていく。
あの強烈な薫りは、ロウバイではなかったのかなって、分らなくなるくらい。
暗闇の中、思わず花のそばまで顔を近づけて、香りを確かめてみる。
「やっぱり、ロウバイだ」
ロウバイが夜の間に放った薫りは、湿り気のある空気と共に、広い空間を夜の間中ずっと漂い続けていたんだろうな。明るくなって、ロウバイを見てからお仕事に行こう、写真も撮ろう・・・
そう思っていたのに、いつものあわただしさで忘れてしまって、そのことを仕事中に急に思い出す。そして、帰ったら、暗くなる前にロウバイを見に行って、写真を撮ろうって思っていたのに、帰りついてからは、朝のあれだけ満ちていたロウバイの薫りなんて少しも残っていないもんだから、夕飯の準備に気ぜわしくなってしまっていて、すっかり忘れてしまったのです。
今日は一日雨降りだったけれど、明日の朝も薫るだろうか。
ロウバイは今が満開の時なのだろうか。
明日こそ、写真を撮り忘れないようにしなくちゃな。
花の命は短いのだから・・・