稲刈りでコンバインがうまく拾いきれず、
地面に落ちた稲穂を拾う作業が、大好き。
うちの田んぼは、真四角じゃないから、
ちょっとカーブしているところなんかは、
キャタピラが稲を踏み倒してしまったりする。
踏み倒さないように、事前に手刈りをしているんだけれど、
それでもやっぱり、残念なことになってしまう。
今年は、台風と雨で倒れた稲をコンバインが起こしきらないまま進んでしまって、
埋もれてしまった稲もたくさんあった。
コンバインが田んぼの畦の曲線に沿って進み始めた時は
一番手がかかるし、一番稲穂を落とす。
そのあと、順調に直線に機械が動き出すと、私の落穂ひろい時間。
落穂ひろいをしていると、必ず、
ミレーの作品、「落穂ひろい」を思い出す。
ジャン=フランソワ・ミレー
作品名:落穂ひろい
製作年:1857年
サイズ:83.5x111cm
技法 :油彩 キャンバス
所蔵 :パリ オルセー美術館
これは、農民の清貧な作業を尊ぶものでもなく、
牧歌的な田園風景を楽しむものでもなく、
まさに「貧しさ」を描いている作品だって聞いたことがある。
収穫後の畑で、落穂を拾い、生活の糧にしなければならない
そんな身分の人がいるということ。
ただ見ただけを描いたのかもしれないけれど、
そういう背景を知ると、絵画の見方も変わってくる。
私が落穂拾いをするのは、汗水流して育てたお米が
ただ鳩についばまれることがもったいないと感じるから。
そして無心に単純作業をすることが、稲刈りの緊張感を緩めてくれる。
裁断されたワラのなかから稲穂を見つけた時の小さな喜びが、
私を満たしてくれる。
私の落穂ひろいは、密かな楽しみでもあり、小さな収穫の喜びでもあるのです。