父親が3人、母親が2人、
名字も4回変わった森宮優子のお話。
血のつながっていない優子の面倒をみること
優子の親になった人たちは、みなそれを、
「負担が増える」だとか、「困った」とか
誰一人思わずに、むしろ奮い立って、
積極的に、それぞれの愛の形を示してくれている。
どの親にもいつも愛され、
主要な登場人物は、みな揃って、いい人過ぎる(笑)
物語を通して、
家族が家族であらしめる、そんな場面には必ず、食卓の風景がでてくる。
どの親も必ず時間を割いて優子のために食事を作っている。
そして、そのことを喜びとしている。
著者が伝えたかったことは、家族と食卓の関係じゃないかとさえ感じる。
誰かのために美味しい食事を作り、
大切な人と一緒に食事を囲む。
その積み重ねが家族の形を作り、
かけがえのないものへとつながっていく。
家族の形態が変わっても、
ぜんぜん不幸ではないのは、
食卓に愛があったから。
自分じゃない誰かのために毎日を費やすこと、
そのことに意味を見出し、
自分で自分を満たすことの難しさを知り、
一方で身近な人の笑顔に満たされる。
血の繋がりだとか、一緒にいた時間とかは関係なくて
家族って、そういうものだと感じさせてくる本でした。