農家の嫁が働きながらこっそりつぶやく独り言

~仕事のこと、農作業のこと、家のこと、子どものこと、 何気ない出来事 ~

【長男の涙と母の願い】

朝から義父が吐露したこと。

 

長男が昨夜深夜2時ごろまで、テレビをみていた。

必死になって勉強しないと、今の世の中生きていけない。

自分が中学3年のころは、希望の高校に入るために、

今時期くらいから、毎日必死になって勉強した。

長男は、高校受験がないから、自分は特別だと油断しているのではないか。

いい大学に入れば、いい就職先がある。

いい就職先には、いい人、いい出会いがある。

本当に医者になりたいというならば、

可愛い孫のために田んぼを売って学費に充ててもいいと思っている。

いい加減な気持ちでいるなら、学費はやられん。

だから、長男に勉強するよう、自分が悪者になって伝えようと思う。

 

 

いい大学に入らなければ、いい就職先はないの?

そもそも、いい就職先って何?

いい就職先にだけしか、いい人、いい出会いがないの?

お金を持っているっていうことが「いい」の基準?

必死になって勉強するって、どういうこと?

お金を出すことに見返りを求めてどうするの?

っていうか、

土曜日の夜に、録りためていたアニメをまとめてみちゃ、だめなこと?

・・・

 

義父の吐露は、私には退屈な内容だった。

旦那さんは、義父に、

わざわざ悪者になる必要はないよ、

同じようなことは、毎日子ども達には伝えてるよ、

って、やんわり断ってた。

 

でも、義父、後でやっぱり長男にお説教らしきこと、してました。

私も旦那さんも、片付けやら、農作業の準備やらで同席しなかったけれど、

長男、黙って、ちゃんとうなずきながら、話聞いてました。

 

 

そのあと、隣町の田んぼの畦刈りで、長男と一緒に二人で車で移動。

その時長男に、

「じいちゃん、ボクのことが心配なんよ。

いろんな価値観の人がいるからね。

母さんは、いい大学に入ったらいい会社に入れるとは思ってないし、

いい大学に入ることがゴールなら、そんな大学行くなという。

将来なりたいもののために、やりたいことのために、

大学が必要なら、その時は応援する。」

って言ったら、長男が、ポロポロ泣き出した。

 

なんで泣くのか、どんな想いだったのか、

尋ねてもうまく答えられないだろうし、

ちゃんと答えてくれないだろうし、

実際、義父になんて言われたかわからないし、

それ以前に、義父の話を、「今の時代、そんな価値観古いですよ~」

って笑って一蹴できなかった申し訳なさもある。

だから聞かなかった。

 

隣で嗚咽しながら涙を流す長男をみて、

両手を広げて走って胸に飛び込んでくる

小さなころの無邪気な長男を思い出し、

たまらなく愛おしさがこみあげてきて、私も泣けてきた。

涙がこぼれるのを必死でこらえながら、運転しながら、

長男の背中をそっとさすったんだけど、

しばらくしたら嫌がったから、やめた。

 

 

長男、1言えば、10わかるような子。

本を読むことが好きで、いろんなことを知っていて、

それをひけらかしたりすることなく人に教えることができる。

マジメに見えて、おバカなことを言ったりしたりするから、

友人も慕ってくれている。

素直で、優しくて、穏やかな性格。

集中力もすごい。

 

私には出来過ぎた子だと思っている。

だから、基本、長男のすることには何も言わない。

ちゃんと考えていることが多いから。

そして、ちゃんと話してくれるから。

 

勉強してなくても、ちょっと成績が下がっても、

本人がイヤというほどわかっている。

長時間勉強することが美徳な考えの進学校で生徒会長をしている長男に、

長時間勉強するより、要領よく勉強することの大切さを伝え、

おバカなことを推奨する、クレイジーな母親。

 

 

長男にとって、母親というもの、私という存在が、

のんびりできる、安心できる、油断できる、バカになれる

そういう居場所、還ってこれる場所・・

そんな存在であったらいいなと思っている。

 

 

自分のやりたいことが見つかって、

自分のやりたいことを一生懸命やれて、

信頼できる人たちと、楽しく笑顔で過ごせたら、

それが一番だと思う。

それが何よりだと思う。

 

それが母の一番の願いです。